講師に訊け! ~ 誰がためのWebサイト
Webサイト(ホームページ)を制作する上で、技術的な面の習得はもちろん重要です。しかし、そもそも何のためにWebサイトを立ち上げるのか、誰のためのWebサイトなのかをしっかり考えないと、せっかくのサイトが意味のないものになってしまいます。
そこで、
アンカーテクノロジー株式会社神森 勉(かみもり つとむ)氏に、アクセシビリティなどの話題もからめてお話を伺いました。
最近のWebサイト制作の技法として、テーブルを使ったレイアウトではなく、CSS (カスケーディングスタイルシート)の使用が一般に推奨されていますが、神森さんはどのようにお考えですか。
まず、テーブルでレイアウトすることがいいとか悪いとかではなくて、僕はテーブルのレイアウトでも、CSSのレイアウトでも、どちらでもいいと思っています。
え、そうなのですか?
というのも、Webプロデューサーとしての僕たちの役割は、「『お客さま』と『そのお客さまのエンドユーザー』とが、上手にコミュニケーションをとれるサイトを作る」ことにつきます。そういった中でいろいろと考えて、最終的にどうやって実装するの?ってなったときに、テーブルであったり、CSSであったりするわけです。
たしかに見ている人にとっては、テーブルやCSSがどうこうより、内容が一番重要ですよね。
で、Web標準はもともとは「W3C での国際標準に則ったサイトにしましょう」ということですよね。規格に沿うということは、「品質を保証する」って考え方でもあると思うんですよ。
たしかに、今まで独自のルールで作ってきたサイトですと、客観的な判断が難しかったですよね。 Web標準という基準が明確になっていれば、品質の保証が客観的にできますよね。
そうですね、そこで、テーブルにするのか?しないのか?については、「本来テーブルはレイアウトに使うものではない」、という前提があります。そして、しっかりとした文章構造を組み立てて、見た目の部分をCSSで管理しよう、と。それがモアベターであり、そういう風にやっていくことが正しいのですが、そればっかりにとらわれてしまうのは、僕はどうかなって思うんですよね。
CSSは目的のための手段である、と。
「良いものは良い」、本当の意味はそこだと思うんですよね。良いものは良いという考え方でWebサイトを作っていけば、自然と標準に沿ったものになるはずです。
そうですね。みんなが良いと思うからこそ、標準となっているわけですよね。
内容が良く、さらに標準規格に沿ったものであれば、「誰もがその情報を享受できる可能性」が大きくなります。より多くの人へ、情報公開の機会が増えることにつながりますね。
その標準規格に沿うために、文章構造とデザインを分けることができるCSSが注目されているのですか?
まあ、CSSでデザインする事自体が注目されがちなのですが、標準規格に沿う為にCSSでデザインしている訳ではありませんよね。もう一度考えてみてください。
「誰のためのWebサイトなのか?」
より多くの人に情報を伝達するための手段としてサイトがあり、多くの人が情報を享受でき、かつ、見やすく、わかりやすいページとは?と考えた時に、『多くの人が閲覧するには、Web標準は必要だよね。じゃあ文書構造と切り分けて細部までデザインするには、CSSの方がいいよね』ってことになるんですよね。Web標準に準拠しつつ、細やかなデザインを行うためにはどうしてもCSSが必要なので、注目されているんですね。
CSSでデザインすることや、Webの標準規格に準拠ということを考えたとき、高齢者の方や障害者の方の利用しやすさ、いわゆる「アクセシビリティ(Accessibility)」も気になりますよね。Dreamweaver 8(ドリームウィーバー8)でもチェックができるようになっていますし、言葉としても広まりつつありますが、そのあたりはどうでしょうか?
そうですね、今まで新聞やテレビからの情報にしかアクセスできなかった人が、インターネットを使うことにより、自発的に情報に対してアクセスできるようになった時点で、実はアクセシビリティだったりするわけです。その中で僕たちは、さらにより多くの人たちが利用できるよう、できる限りアクセシブルなページを確保することが大切だと思います。これもやっぱり「良いものは良い」って話になると思うのですが、要はよりアクセスしやすい「環境」を作っていくことが大切だと思うんですよね。
インターネットが普及したことで、情報を得る機会が確実に増えてきていますよね。
ただ問題がひとつあって、アクセシビリティって最近騒がれているので、お客さまからも「うちのサイトもアクセシビリティを考慮したサイトにしたい」という案件があるのですが、アクセシビリティって、実はWebサイトだけを変えればいいって話ではないんですよね。
例えば…
あるホテルが、アクセシブルなサイトにリニューアルしたので、今までアクセスできなかった人が利用できるようなりました。しかし実際にホテルに行ってみたら、入り口に段差があって車椅子が利用できなかったり、エレベーターに点字表記がなく、行き先が分からない、などなど…
このように不便だと感じる利用者が多かったら、仮に利用者が増えたとしても、企業としてはどうでしょうか?
なるほど、それはすごく参考になる話ですね。
アクセシビリティって、Webサイトなどの表面だけではなく、その奥にある企業自体が、アクセシビリティの意味を理解して実行してこそ意味があるんですよ。だから、入り口しか変わっていないのであれば、アクセシビリティにしたってしょうがないじゃないですか。ですので、私たちはアクセシブルなサイトを作るのと同時に、お客さま自身の意識も変えていくように進めていくべきなんですよ。
お客さまと一緒に作りあげていくだけでなく、お客さまの意識改革も提案していくわけですね。
でも、あんまりアクセシビリティ、アクセシビリティと言ってしまうと、それが目的になってしまうのが僕は嫌なんですよね。アクセシビリティを実装することが、最終的な目的ではないはずですよね。最終的な目的は、あくまでも情報をちゃんとエンドユーザーに伝えてあげて、その間でコミュニケーションがとれているかどうか。ここが一番重要で、そういう視点で見るとアクセシビリティは表面的ともいえます。
そして、情報を発信する時に何が必要なのか、どういうことをしなければいけないのか、どういうコンセプトが必要なのかっていうのをまず最初にお話しする。そこから、じゃあよりたくさんの人にアクセスして頂くための手法として、こういうふうに実装しましょうという話の流れを作っていかないと、多分そのサイトは表面的な公開で終わってしまんですよ。
その企業がどんな理念のもとで、どんな商品を扱っているのかということを、自信を持って公開してほしいんですよ。そうしないとWebは、いつまでたっても紙やテレビの代替手段という形で終わってしまうんですよ。本来なら、新聞やテレビなどのメディアと肩方を並べていいメディアなのに!
そうですね。今のメディアミックスとよばれるWebサイトは、メインとして新聞やテレビがあり、その補足分をWebで公開している感じですからね。
僕思うんですけど、Webって新聞やテレビと違って情報が勝手に送られてくるわけではなく、何か情報を得るために自分が行動を起こさないといけないメディアじゃないですか。そう考えると、情報発信に関して凄く効果的に使えるツールだと思うんですよね。
情報を伝えたい人に、効果的に配信できるわけですね。
そのことをお客さまにしっかり認識してもらわないと、Webってこれからどんどん伸び悩んでしまうんじゃないかと思うんですよね。そういう意味でも、お客さまがWebサイトで何を公開したいのかをしっかりと決め、僕たちも一緒に考え、エンドユーザーにそれを届けるにはどうすればいいか、そういった部分を提案していくことが重要ですね。
なるほど、DreamweaverではじめるCSSデザインテクニック講座では、技術だけでなく、このような話題も紹介しているのでしょうか?
はい、先ほどの講義でもいっぱい話してきました(笑)
受講される皆さんには、こういった生の声はすごく興味がありますよね。本日はどうもありがとうございました。
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神森 勉 (かみもり つとむ) |
| 制作部ディレクターとして、特にアクセシビリティやCSSデザイン、Contribute更新用テンプレートの実装部分を手がける。また |







